酒造りに適した清水が湧き出すエリアであったことから、西宮は日本でも有数の酒の産地「灘五郷」として栄えてきました。また、古くから交通の要衝でもあった西宮ですが、海上輸送が頻繁になった江戸時代には、今津港から大量の酒を積んだ樽廻船が江戸とを盛んに行き来しました。
全国に約3,500社あるえびす神社の総社「西宮神社」の“福の神”に見守られ、発展を遂げてきた「西宮」の歴史・文化スポットを巡りながら、このエリアを象徴するもう一つの代表的なスポットである「甲子園」を目指す、ちょっと欲張りな1日散策コースをご紹介します。
阪神「西宮」駅
まず、スタートは阪神「西宮」駅から。駅内には「阪神・にしのみや」や各種専門店、人気の飲食店が集まっているショッピングセンター「エビスタ西宮」があって、ちょっと立ち寄りたい気分ですが、ショッピングは「三井ショッピングパーク ららぽーと甲子園」までおあずけ。まずは歴史散策から始めましょう。
えべっさん筋
駅の南西には「えべっさん筋」という南北に走る通りがあります。そこから見える小さな森が「西宮神社」。えべっさん筋から伸び、御神燈籠がかかる通りの一角には「戎座人形芝居館」もあります。
なぜえびす様と人形芝居が関係あるのかとちょっと不思議な気がしますが、えびす信仰が広まった室町時代には、傀儡子(くぐつし)という人形使いが各地を回って人形を躍らせながらえびす様のご神徳を広めたり、お札を配っていたそうです。「えべっさん筋」の北には「傀儡師故跡」もあって、そこはかつて多くの傀儡子が住んでいたエリア。現在は首から箱を提げて人形を繰る箱回しの傀儡子像と石碑が建てられています。