歴史と文化薫る街、番町・麹町
千代田区番町・麹町エリアは、皇居に隣接する都心の中の都心ともいえる場所にある。特に番町周辺は、江戸時代からの伝統を引き継ぐ高級住宅街として知られ、現在も邸宅や大使館に加え高級マンションが建ち並んでいます。
江戸時代、このエリアは江戸城に隣接した場所にあることから、江戸城の防衛上重要な役割を果たしてきた場所。「番町」という地名も、大番組と呼ばれる将軍の警護を担う旗本の住居があったことに由来しています。
明治維新後、番町・麹町エリアには、英国大使館、ベルギー大使館をはじめとした多くの大使館がつくられ、外交の拠点となっていきます。また、こうした海外とのつながりから、キリスト教の教会も多くつくられ、現在でも、このエリアを歩けば、「聖イグナチオ教会」など数多くの教会を見ることができます。「上智大学」や「女子学院中学校・高等学校」など、ミッション系の教育機関が多く立地するのも、このような歴史的背景によるものです。
また、麹町も、江戸時代の歴史に由来する地名とされています。麹町は、府中へと続く国府街道(今の甲州街道)沿いにあったことから、国府道(こうじ)の町と呼ばれるようになったといわれています。
さらに、番町・麹町エリアには多くの文人が住居を構えていました。靖国通りを「市ヶ谷」駅前で左に曲がった女子学院近くから「四ツ谷」駅方面に延びる「番町文人通り」と名付けられた通りには、とくに文人たちが多く住んでいました。本を片手に、与謝野鉄幹・晶子、滝廉太郎、泉鏡花、島崎藤村と著名な文人の旧居が集まるエリアを歩けば、作品の背景がより深く理解できそうです。