荻窪北口文学散歩
荻窪周辺は大正末から昭和にかけて多くの作家や文学者などが移り住み、その中でも「阿佐ヶ谷会」という会では、井伏鱒二をはじめ、青柳瑞穂、太宰治らがメンバーとなっていたそうです。1929(昭和4)年に発表された処女作『山椒魚』でも有名な井伏鱒二の家は今も天沼の住宅街にあります。
『山椒魚』でも有名な井伏鱒二の家
太宰治も荻窪付近で5回ほど下宿先を転々としていたそうで、「天沼教会」の先に、下宿先のひとつ「碧雲荘」がありましたが、惜しまれつつも2016(平成28)年に取り壊しとなり、建物は大分県由布市へ移築されました。南荻窪4丁目にある「南荻窪中央公園(現・与謝野公園)」は、与謝野晶子・鉄幹夫妻の住居があった場所といわれ、少し街を歩くだけでも、文化の薫りを随処に感じることができます。
太宰治が下宿していた「碧雲荘」(※現在は大分県由布市へ移築)
大田黒公園
それでは「荻窪」駅の南側を散策すべく、阿佐ヶ谷寄りにある荻窪地下道を抜けましょう。地下道には杉並区のキャラクター「なみすけ」ファミリーの絵が描かれています。クラシック音楽を中心とした「荻窪音楽祭」が開催される街だけに、楽器を演奏する「なみすけ」の姿も。
地下道には杉並区のキャラクター「なみすけ」が
駅の南側に出て阿佐ヶ谷方向に歩くと、武家屋敷風の門と建物が残る「明治天皇荻窪御小休所」、そして半円型の壁と青銅のドームの昭和モダン建築「旅館西郊」が見られます。「旅館西郊」は以前は壁に書かれた「西郊ロッヂング」という高級下宿だったそうですが、現在は純和風旅館として営業しています。
昭和モダン建築物「旅館西郊」